「三種の神器」

製造業には欠かせない計測器。
英語では「Measurement Instrument」というそうです。
「Instrument」は計器以外にも楽器という意味もあります。

そんな計測器の中でも、バイオリンやギターのような花形楽器に相当するのが
「オシロスコープ」ではないでしょうか。
電子回路技術者にとって、オシロスコープは三種の神器の1つかと思います。

以前は個人ではなかなか手の出ない金額だったオシロスコープですが、
10年ほど前から数万円台の製品が出回るようになりました。

私は持っていなかったのですが、調べていたら欲しくなってしまい、
某オークションサイトで中古オシロを落札してしまいました。

私が入手したのは、中国メーカーでHANTEKのDSO5072Pというモデル。
発売されたのは2013年頃で少し古めなのですが、今でも現行生産しているようです。
新品だと日本国内では3万円程度、中古だと1万円台で入手できます。

一通り触ってみたので簡単なレビューをしてみます。

【主要スペック】
サイズ:横幅313 ✕ 奥行き108 ✕ 高さ142mm
重量 :実測2kg
LCD :7インチWVGA(800✕480) 64k色表示

入力Ch:2ch + 外部トリガ
サンプリングレート:1Gsa/s
レコード長:最大40K
水平軸:2ns~80s
垂直軸:最小2mV~10V/div
ADC分解能:8bit
波形取込レート:2,000wfms/s

メインプロセッサ:Samsung S3C2416 (ARM926EJコア)
FPGA:Altera CycloneⅢ
ADコンバータ:Analog Devices AD9288※
RAM:DDR2 512Mbit
OS:Linux

※AD9288は2ch/100MsaのADコンバータですが、オーバークロックで125MSaで動作させ、
これを4個用いることで1Gのサンプリングを実現しているそうです。
海外のEEVBLOGという掲示板ではこの機種についての膨大なスレッドがあって、
リバースエンジニアリングや改造についての情報が出ていたりします。

【外観】

本体はコンパクトで軽量です。横幅が約300mmでA4縦サイズくらいなので、
ちょうど事務机の引き出しに収まります。
純正バッグが無いので、私はキャンプ用品を入れるバッグに入れています。
(ぴったりすぎて電源ケーブルが入らないのは気にしない)

【気にいっているところ】

・液晶が大きくて見やすい。
7インチWVGAなので一般的なカーナビと同じで、よくある7インチ液晶です。
視野角・明るさ・コントラスト等、とくに問題ありません。
一昔前の5インチ液晶オシロと比べると、かなり高精細で見やすいですね。

・測定機能は過不足無し。
デジタルオシロとして必要な測定機能は一通り揃っていて、まぁまぁ使えます。
メモリ長がMAX40kptsと短めですが、一昔前のデジタルオシロだと10k程度だったので、
Arduinoとかの電子工作用途で困ることは無いかな、と思います。

・立ち上がりが早い
正確に測っていませんが、電源投入から10秒くらいで立ち上がります。
OSの存在を感じない起動速度で、気軽に使えます。

・時計(RTC)が内蔵されている
通常は画面右下に日時が表示されるようになっており、
画像をセーブした際も正確なタイムスタンプが記録されます。
内部にバックアップ用の電池(CR2025)があり、カバーを外せば交換できます。
10万以下のオシロでは付いていないことが多いようなので、珍しい機能と言えます。

・インタフェースはT社寄り
全体的にT社寄りのインタフェースになっており、
外観デザインもT社への熱烈なオマージュを感じさせるものになっています。

操作感についてはデジタルオシロスコープを使ったことがある人なら
直感的に使いこなせるものになっています。
機能が多すぎないのでメニューの階層もシンプルです。
画面構成やアイコン表示は分かりやすくてなかなか良いと思います。

・USBメモリ対応
今となっては当たり前ですが、USBメモリを挿してBMPやCSVで保存できます。
古いデジタルオシロだと、USBメモリの認識や保存にやたら時間がかかっていましたが、
このオシロでそういったストレスは感じません。
画面キャプチャはBMPのみで、PNGやJPGには対応していませんが、
解像度がWVGAなのでBMPでも1MB程度と小さなものです。

【ここがイマイチ】

・操作によって、若干レスポンスが遅いと感じる部分があります。
水平軸を動かしたとき、カーソル機能でカーソルを動かしたときが特に気になりました。

・メモリ長が少ないせいか、取りたい波形によっては取りこぼしが発生する場合があります。
また、メモリ長を最大に設定していると取込に時間がかかります。

・USB接続でPCから操作・計測する機能もありますが、これはオマケですね。
レスポンスが遅すぎるので、USBオシロ的な使い方は出来ません。
波形取込は出来るので、静止波形のキャプチャとしては使えます。
ちゃんとWindows10には対応している点は評価できます。

・日本語マニュアルはありません。
マニュアルを読まないとわからないような複雑な設定や操作があるわけでもないので、
個人的には無くてもOKでした。

【勝手に総評】
現在の低価格帯オシロの水準から考えると、お値段以上とはいえませんが、
デジタルオシロとしての機能は一通り備わっています。
他に新品でも2万円台から買えるものもありますが、最初の1台としては良いんじゃないかと。
中古で1万円台から入手できるので、安物買いの何とやら・・・にはならないと思います。

 

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